Tamon to the Dock

Tamon to the Dock(LIGHT)

爽やかな柑橘系の香り。桃のような甘い余韻。
創業時の活気あふれる営みに思いを馳せて

酸味 ★★★★☆
苦味 ★★★★☆
コク ★★★★☆

「Tamon to the Dock」
ドックへ続く多聞通りは上島珈琲店と世界を結びつけた道。
それは古き良き珈琲文化へのオマージュ。
爽やかなグレープフルーツの香りと桃のような甘い余韻にほとばしる高揚感と情熱を感じさせて。

「Tamon to the Dock」は、上島珈琲創業当時、世界への玄関口だったドックへと続く多聞通りで繰り広げられていた営みをイメージ。
まだまだ海外への渡航も困難だった時代、生産国を自らの足で訪問し、選りすぐったコーヒー豆が港に着くのを、今か今かと待っている。
期待を込めて荷受けをし、つくりたい味にこだわって慎重に焙煎を仕上げ、自らのお店の商品として初めて世の中に送り出す。
その営みの中にある情熱と高揚感を表現しました。

UCC 農事調査室 室長 中平尚己

UCC 農事調査室 室長 中平尚己

高揚感と情熱

UCC 農事調査室 室長 中平尚己

創業者とコーヒーとの出会い希望に満ちたブレンド

「Tamon to the Dock」には、ケニア、ザンビアといった、マスカットやグレープフルーツなどを想起させるような、本当に明るくて、フルーティな風味のあるコーヒーを使用しています。創業者の上島忠雄が初めて選んだ豆が、初めて神戸に入荷し、これから商品として世の中へ送り出していく、そういう場面をイメージしているので、だったらこの組み合わせかなと、かなりの種類のオリジンから絞り込みました。

ケニアなどのアフリカ諸国は、上島忠雄が外務省や日本のコーヒー協会の人達を引き連れて使節団を結成して訪問した国々なんです。せっかくなら上島忠雄の足跡を追っていく形で、歴訪した国のコーヒーを使おうと。

ではそれぞれどんな焙煎をして、どう組み合わせ、割合をどうしたらいいかと、だんだん形が具現化していきました。

「Tamon to the Dock」はその当時のブレンドや、焙煎の仕方などを念頭に置いた、古き良きその昔の喫茶店で飲めるコーヒーへのオマージュになっていて、それを現代風にしています。 この商品のイメージングは、今のいわゆるサードウェーブでもてはやされているコーヒー店の対極にあるようなコーヒーですね。

UCC 農事調査室 室長 中平尚己

ブレンドと焙煎がそのコーヒーのキャラクターをつくる

ブレンドっていう行為は、もとの一方をより強化するようなものにはならなくて、平均化していくものなんです。だから平均化した時にどんな変化が起きるか予想しやすいのは、やはり原色やヴィヴィッドな色だし、曖昧な色同士をブレンドするとさらに曖昧な方向へいってしまう。今回、グレープフルーツの香りと桃の甘い余韻というヴィヴィッドな風味を調和させているんですが、豆を選んだ時点で、これとこれを使ったらこういう方向性になるというのがある程度見えていた。そこで、どちらを強く立たせるか、どのようなバランスにするかを、焼き方や配合比率で調整していったんです。

あの時代の情熱や熱量を考えると深炒りかなとも思ったのですが、深く炒ると、もちろんコクという力強さは出せるけれど、豆の持っている特徴の力強さは消えてしまう。常に「Tamon to the Dock」というネーミングとそのイメージに立ち戻り、より攻めるのなら、香りが強く来るようにもっと浅めの焙煎で行こうなど、常に「言葉」と「味」を一体化させることを心がけながら、ブレンド作業を進めていきました。

アフリカのコーヒー農園

奥行きを味わいながらはるかアフリカに想いを馳せて

この「Tamon to the Dock」は、やはり少し落ち着いた時間があって、リラックスできる時に、奥行きのある味わいに浸りながら飲んでほしいコーヒーですね。

昔は、手元にあるコーヒーが、どこから来たかも、もともとがどんなものなのかも分からなかった。そんな時代に想いを馳せて、ドックから海外の産地へと旅するように、産地の風景までイメージを膨らませてもらえたらと。こんなフルーティなコーヒーの採れる所がアフリカにあるんだなって、写真でも眺めながら楽しんでもらえたらと思います。

どちらかというと、豆の風味を活かす焙煎で浅炒りなので、味が出にくいため、通常よりは細挽きで、量は少し多めに、お湯の温度は高めにして淹れてもらえるといいですね。そうすることで、しっかりとした内面の味まで、奥行きを味わい尽くしてもらえるような抽出ができると思います。

カヌレとコーヒー

同調 or 味の変化を引き出すペアリングにもチャレンジ

フルーティーなコーヒーなので、同調効果、グラデーション効果を狙うなら、フルーツタルトなどフルーツを生かしたものと合わせるのがおすすめです。重なる部分が多いので、お互いの良さを相乗するんですね。

逆に重ならずそこから外れたものは、目立ちます。だからわざと重なってない組み合わせをすることで、それぞれの食べ物の見えなかった部分を見えるようにするというペアリングもあります。

よりコーヒーのフルーツ感を強調するのであれば、ちょっと苦いもの、例えば、そんなに重くないけれども、チョコとかビターな味わいが感じられる「カヌレ」なんかおすすめです。「Tamon to the Dock」のフルーツ感がバンと出て、苦味や渋みがスーッと消えていくような、コーヒーなんだけど、果汁を飲んでるような不思議な感覚になると思いますよ。

上島珈琲店レギュラーコーヒー

ー 19の物語 ー